『人間失格』と『不連続殺人事件』
このタイトルを見て関連がわかる人はなかなかの文学通です。
ご存じのとおり『人間失格』は太宰治の代表作といってもよい作品です。読んでいて愉快な気分になることは難しいのですが、名作といってよいでしょう。
太宰治は文学史的には「無頼派」の代表的作家として位置づけられています。第二次世界大戦中から文壇に登場した「無頼派」の作家たちは、戦後の混乱した社会の中で世相を批判する作品を残します。
『不連続殺人事件』は「無頼派」の一人である坂口安吾の小説です。坂口安吾の人生は「無頼」を体現しているといえるほど破天荒なのですが、『堕落論』という評論で文学史に確固たる地位を築いています。
「殺人事件」が示すとおり、これは推理小説です。そして日本推理小説界の巨匠である江戸川乱歩や松本清張から高い評価を受ける傑作です。
現代の感覚からすると不適切な表現もありますが、推理小説ファンはもちろん、純文学への入口として、一読をおすすめします。